【LittleGleeMonster】ティラノはいかにしてリトグリにはまったのか

気が付いたらそこは沼だった。

 

ただの沼ではない。

体は汚れず、臭くもない。

それどころか

心が洗われていくようではないか。

なんだこの歌は。

聞いているだけで心地がいい。

 

その瞬間

 

「あなたの風になって」

 

そんなフレーズが入ってきた。

 

ぼくが沼の正体に気づいたのはその時だった。

 

 

話をさかのぼること2018年冬

当時高校生の青年は

まだティラノなどという安直な名前を名乗らず、

ごく普通の高校生活を送っていた。

 

そしてごく普通に

高校生活最後の恋をしていた。

 

青年はその子とあまりしゃべったことはなく、

諦めを考えていた。

 

しかしもう卒業ということ、

そして一年から仲の良かった女友達が

なんとその子と仲がよかったこと。

 

それらの追い風を背中に感じた青年は

なんとかその友達同伴のデートまでこぎつくことが出来た。

 

しかし、脈のなさを感じた青年は諦めてしまった。

まだ未練はあるというのに。

 

時は少し進み、

青年は大学生としてそれなりに楽しい日々を送っていた。

 

もう少しで夏が来る。

 

その日は

そんな晴れた空模様だった。

 

青年がTwitterを見ていると

ある動画が流れてきた。

 

関ジャムの一幕だ。

あの番組はたまに見るが面白い。

 

その動画では

LittleGleeMonsterの子たちが

「世界はあなたに笑いかけている」

をアカペラで歌っていた。

座りながら、軽々と。

 

その通称リトグリの曲で

唯一青年が好きで、

よく聞いていた曲こそ

「世界はあなたに笑いかけている」だった。

 

顔はあまり見たことがなかった。

「こういう子たちが歌ってたのかー」

そんなことを思っていると

苦い記憶を思い出させる子がいた。

 

名前はまなかというらしい。

 

あの子と雰囲気が似すぎている。

正直歌のうまさよりも、

最初はそっちに目が行ってしまった。

 

「似てるなー」

そう思いながらリプ欄を見ていると、

リトグリファンの人が

おすすめの動画を貼っていた。

 

「永遠に」

 

そんな曲のパフォーマンス映像らしい。

 

青年はその

「まなかという子とゆかいな仲間たち」

の映像を興味本位で見てみることにした。

 

すると、歌いだしから重厚感がすごい。

序盤のさざ波のような展開から

まなかのパートへ。

そのきれいな歌声を合図にサビに入った。

 

「すげぇ」

 

単純にすごい鳥肌が立った。

めちゃめちゃきれいな音だった。

 

その約二分後。

ラスサビ、

帽子をかぶった子が曲を覚醒させたころ

青年はとっくにその世界に入り込んでいた。

 

そこからさらに追い打ちをかけるかのような

歌い分けとメロディーを披露し、

最後には素晴らしくきれいなユニゾンで幕を閉じた。

 

青年は固まっていた。

こっちの沼でも足を取られるのには変わらないらしい。

 

 

その沼に気づいた青年は

さらに奥に進み曲を聴いていた。

 

その時にはすでに

「まなかとゆかいな仲間たち」

 

 の曲ではなく

 

「Little Glee Monster」の曲だった。